◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ アート トレンディー Art Trendy.net No79◆◆
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2006.7.31
目次
1.《絵画市場の基礎知識! 》 第3話・鑑定
2.《日経ビジネス“杉江隆の美術散歩”》
3.《Art Trendy.net》
4.《Art Trendy カフェ》
5.《アートログ》
6.《メルマガ・バックナンバー》
■《絵画市場の基礎知識!》 第3話・鑑定
ここ数年来、テレビ「何でも鑑定団」(テレビ東京系列)の放映
によって、美術品への関心は急速に高まりつつあるようです。
この番組の面白さは、所有者が想う金額と鑑定士の査定金額
との落差に視聴者が一喜一憂し、夢と現実のスリリングな感覚
を味わうことにあるのではないでしょうか。
両者の価格がおよそ一致したときには「凄い目利きだ」と
所有者に賞賛を与え、査定価格より大きく下回る場面では
「ガッカリだろうな」と同情し、逆に査定価格が大きく
上回ると「羨ましい」と羨望の眼差しを向け、視聴者の
“お宝”に対する興味を益々刺激していきます。
このように美術品は単に鑑賞するだけであれば崇高な
芸術作品ですが、一旦購入するとなると、あるいは手放そうと
すると、それはまさしく商品としての顔に豹変することに
なります。
私は日々美術品を売買しながら、それらを巡る悲喜交々の
ドラマを目にしていますが、最近私が経験した“お宝”に
まつわる実際のエピソードをご紹介いたしましょう。
先日、知人の不動産業者の方から電話をいただき、
「杉江さん、梅原龍三郎という作家は有名な方ですか」
「勿論、日本では特に有名な評価の高い洋画家ですよ」
「実は不動産関係のお客様がその梅原龍三郎の薔薇の絵を
お持ちで、作品の査定をして欲しいとのことなのですが」
翌日、お客様のお宅を訪問すると、その絵は玄関の横に飾って
あり、昭和40年代に描かれた出来栄えのよい作品だと見て
とれました。
「この絵は亡くなった主人の父親から30年前に頂いたものです。
相当な価値がするものと主人からは聞いていたのですが」
私は頷きながら「そうですね、価値は高いですよ。では題名と
署名を確認するために、額の裏蓋を開けさせていただきます」
私は飾ってある絵を壁からはずし、額縁を手に持った瞬間、
梅原にしては随分と安価な額縁を使用しているなと直感的に
嫌な予感に襲われました。
作品を床に置き、裏蓋をはずしたところ、画面裏側に
『梅原龍三郎作 薔薇図』という印刷されたシール(紙片)
が貼られ、シールの縁には“工藝画”と摺られていたのです。
絵の画面をよく観察したところ、まさしくそれは油絵具の
筆感に似せた工藝画だったのです。
相手の失意の気持ちを思いつつも、正直にお話することに
しました。
「奥様、これは工藝画です」
「工藝画というと、どういうことですか」
「印刷物とお考えください」
「えっ、そんな、ずっと本物だと信じていたのに、換金して
娘達に分けてあげるつもりだったのですよ。どうしましょう」
金銭だけでなく、長年にわたり親しんできた思い出をも否定
されるような先方の気持ちを察すると、本当に言葉がありま
せんでした。
ー 次号に続く −
■《日経ビジネス“杉江隆の美術散歩”のお知らせ》
“杉江隆の美術散歩”が日経ビジネスオンラインで連載される
ことになりました。下記URLでお読みください。
( http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20060726/106914/ )
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