◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ アートコンサルティング・ギャラリー杉江 - No56-
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2004.2.12
- 目次 -
1.《黒い太陽と赤い月!》
2.《杉江画廊が推奨する今週の逸品!》
3.《ホームページの内容》
皆さんいかがお過ごしでしょうか。
節分も終わりまだまだ寒いとはいえ、少しづつ春の光と
なってきた今日この頃です。
風邪がだいぶ流行しているようですが、体調には十分に
お気を付けください。
■《黒い太陽と赤い月!》
先週の2月7日、東京ステーションギャラリーでは
没後30年『香月泰男展』が展覧会初日を迎え、
そして映画『赤い月』も同じ日に封切られました。
私は欲張りなことに午前は展覧会、午後は映画鑑賞と
存分に休日を楽しんでまいりました。
映画「赤い月」は作詞家・なかにし礼の母親の激動の人生を
関東軍支配下の旧満州を舞台にして描かれた物語です。
常盤貴子が主役を演じ、厳寒のロシアと中国の国境で
ロケ・撮影をおこなったそうです。
なかにし礼の言葉では
「1945年8月9日、ソ連軍が満州に侵攻。… 見上げれば死神の
持つ鎌のような“赤い月”がある。これが私の人生が始まった
時の景色だ。」
画家・香月泰男は明治44年山口県に生まれ、東京美術学校を
卒業し、作家として活躍している最中の昭和18年に召集され、
昭和20年までの2年間満州で軍隊生活を送りました。
そして敗戦と同時にソ連軍によって抑留され、それからの
2年間はシベリアの収容所で強制労働と酷寒の生活を強いられ、
昭和22年にようやく復員を果たします。
帰国後、シベリアでの虜囚体験が彼のライフワークとなる
「シベリアシリーズ」の連作を着手する契機となります。
さて、東京ステーションギャラリーは大正3年に建てられた
東京駅の一部を1988年に改装して美術館にしたものです。
今回出品されている「シベリアシリーズ」の作品は照明を
落とした古色溢れる赤煉瓦の壁面に展示されています。
暗い赤煉瓦の壁に浮かび上がる作品群の中で、私は当時の
収容所にタイムスリップしているような錯覚にとらわれて
しまいました。
例えば「黒い太陽」という作品は“人間の絶望と生への執着”
を蠢くような磁力線を発しながら見る者に強烈に訴えかけて
きます。
「黒い太陽」について香月泰男は次のように語っています。
『真夏の太陽は草原を焼くがごとく照りつける。夕方西南の
地平を転ぶように沈む時、いつも大きく見えて美しかった。
しかし敗色日に濃く、緊迫感を増すにつれ、太陽は自ら希望
の象徴であることをやめたかのように、その赫光さえ失って
中天に暗黒に見えもしよう。』
また「護」という作品は抽象のようで最初何が描かれているのか
わからなかったのですが、50号の画面中央に描かれている小さな
写真の存在に気がつくと、ヒャとして心霊写真を見たかのように
スーっと血が引けていきました。
「護」については下記のように綴っています。
『戦争、抑留の間持ち続けた千人針とお守り。色あせた千人針の
一針ごとに、繕ってくれた人の真心がこもり、煙草ケースに秘め
黄色く変色した家族の写真には生きて帰れと祈る妻や子供の叫び
があった。それは宗教的信仰とは別の心のよりどころであり、
護符であり、人間の弱さを示すものであった。』
図らずも同日に展覧会初日と封切りを迎えた画家と作詞家。
同時代にしかも同じ異国の地点で共通の歴史に遭遇した二人。
何か人生と歴史の因縁を感じざるを得ませんでした。
中国・満州の地でそれぞれが心の深淵に見えたものは
画家の“香月泰男”には《黒い太陽》であり、
作詞家“なかにし礼”には《赤い月》だったのでしょう。
二人が共通に持つ原風景と感覚のコントラストに思いを寄せる時、
何かズッシリとした“人間の重さ”を背負い込むような感覚を
私は覚えていました。 杉江隆 拝
≪ 香月泰男展 http://www.ejrcf.or.jp/gallery/ ≫
≪ 赤い月 http://www.akaitsuki.jp/ ≫
■《杉江画廊が推奨する今週の逸品!》
《掲載中 http://www.gallerysugie.com/suishouhin.htm 》
作者 伊東深水
題名 『静物』
寸法 縦39.5cm×横44.6cm
材質 紙本・着色、軸装
価格 200万円
伊東深水は朝丘雪路の父親で日本を代表する美人画の大家です。
この作品は深水の静物画の中でも発色、構図など特別に出来映え
の素晴らしい作品です。
作者略歴
明治31年 東京に生まれ、鏑木清方に師事する。
大正3年 再興日本美術院第一回展に入選。
昭和33年 日本芸術院会員となる。
昭和47年 没
■ホームページの内容 http://www.gallerysugie.com
1.1万8千点のオークションデータの公開。
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